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e4c-village憲章


1.主旨
時代は変わった。今われわれは産業革命以来の社会的大激変の時代に生きている。
90年代から2000年代にかけて、大量生産・大量消費の工業化社会から知価重視の情報化社会への非連続的遷移がおこっている。インターネットや携帯電話、双方向デジタル放送などの新しいコミュニケーション手段の急速な発展と普及は、人々のライフスタイルに確実に質的変化を惹き起こしている。「賢い消費者」が誕生し、「もの言う冷めた個人」が覚醒し、多様な価値観を身に付けはじめた。世の中は供給者側のシーズ中心から需要者側のニーズ中心へと急速に動いている。
このような状況の中で企業の経営スタイルも、ビジネスモデルも、哲学的なレベルまでの大変革を迫られている。個客視点から見たときに、企業側から見た「市場」概念はすでに陳腐化しているかもしれない。主にIT革命によって惹き起こされた変化は、「市場」という集合概念を打ち破り、直接個人にアクセスするという仕掛けをもたらした。マスとして捉えられてきたすべてが見直される事態になったと言えよう。従来の業界の定義では生き残れない。昨日まで別の業界だと思われていた企業が今日突然新たな競合相手として現れてくることも珍しくはない。今まで売れていた商品が売れなくなる。器ビジネスと一体だったコンテンツがそれだけで流通するようになれば当然であろう。このような事態はいたるところで起きている。すでに述べたように企業の変革は小手先ではすまないところまで来ている。
国々によって、また文化圏によって、変化の仕方、展開する部分の順序、内容は違っていても、変化の大きさと方向性は共通している。この変化への対応を企業が誤れば、その企業は生き残ることすらできない。既に勝者と敗者の選別が表出している。しかもこの競争は従来の業界の枠を飛び越え、国境を飛び越え、新しいライバルがどこから来るかさえ想像がつかない状態にまでなっている。勝敗は地球規模で決まってくる。
世界は新しい時代を迎えている。
この革命的な変化の中で、いくつかの新しい共通の課題が浮かび上がってきている。これらは21世紀の人類に突きつけられた課題といっても過言ではない。
新しい地域間格差、産業構造の変化がもたらす雇用問題、法体系の現実との乖離、権利者の保護、プライバシーの保全、ネットワークセキュリティーの確保、市場構造の激変、ビジネスモデルの進化、企業経営手法の変革、生活者のライフスタイルの変化等々、IT革命がもたらす新しい社会秩序への変曲点は、今ようやく具体的な姿を現し始めている。

我々はこれらの問題を真摯に受け止め、変革を乗り切り、新しい時代のビジネス構造を創出し、次の時代の社会作りに貢献することを志してここに集まってきた。一人ではなく、一社でもなく、一業界でもない、新しい結合と方法を模索するために集まった仲間の群れである。自立したメンバーで構成されるcommunity「村」、これをe4c-villageと名付ける。

e4c-villageは、人と人が、会社と会社が、敵対や競合を超えて、協力するために生まれた場である。


2.理念
e4c-villageは、一社ではできない創発型ビジネスの創出を通して、世界中のすべての人々が協力しながら競い合い、共生していく環境を提供することを最高の理念とする。 従ってe4c-villageは、公的な意識を第一義とした中立的かつ開放的なnetwork platformである。
●e4c-villageは、企業とユーザーがプロシューマー的観点から協業し、すべてをユーザー中心に考えるuser centric communityである。
●参加する企業はサプライサイドに立った販売指向を排し、ユーザーが真に欲するサービスをユーザーと一緒に開発していく姿勢が望まれる。e4c- villageは、企業のための「売る手伝い」をするのではなく、ユーザーが欲するものを「探し、手に入れる支援」をする場である。
●この新しい理念は、ユーザーと企業の新しい関係を構築することを意味する。
e4c-villageは、「売り手」と「買い手」、「受け手」と「送り手」、「作り手」と「使い手」、それぞれが対等なcommunity memberとして、社会が真に望む価値を共創する「場」である。


3.メンバーと組織
e4c-villageは、自立した個人、法人をメンバーとして構成される。志を同じくする個人、法人は誰でも参加する資格はある。その意味でオープンではあるが、二つの資格基準がある。清廉でフェアな人格・社格と、衆に秀でた何らかの特長・競争力である。すなわち相互に尊敬に足るメンバーだけで構成される。
e4c-villageには、定常的に、有識者で構成される評議会と、メンバー間の交流を促す協議会と、villageの運営・管理を行う事務局を置く。評議会は、e4c-villageの運営がフェアに且つ社会的に有意義に行なわれているかアドバイスする役割を担う。協議会は、メンバー間の情報共有の場であり、メンバー間の自主的連携を進める場である。事務局は、評議会、協議会を含むvillage全体の活動が効率良く、実り豊かになるようすべてのサービスを提供する。
これらはすべてメンバーの活動の場としてe4c-villageがオープンにフェアに、そして質的に高いレベルで運営されることを保証するものである。


4.メンバーの協調と相互尊重
ネットワークを利用したビジネスはますます複雑性を増しており、社会の広範かつ多様なニーズに応えるには、単独の事業主体だけですべてをまかなうことは難しい。e4c-village存在の意義は、まさにこれを補完することにある。ユーザーに最高のサービスを提供するためには、自社技術に拘ることなく、ほかのメンバーにより良いものがあれば躊躇することなくそれを採用する謙虚さを持つことが期待される。提供する側のメンバーも、快く協力することが期待される。
e4c-villageは、メンバー同士の相互の協力と信頼により、ユーザーに最高のサービスを提供する場である。またその信頼関係は、各メンバーが保有する競争力に対する相互尊重から成り立つ。たとえば紙一重であっても一日の長を尊重し合う姿勢が望まれる。



5.進化について
e4c-villageは三者の進化を引き起こす「場」である。すなわち、village自体、参加メンバー、そしてユーザーの三者である。e4c- villageはインターネットや生態系のような複雑系を形成し、三者の進化が創発によって促進される。新しい知恵、利便性が古い形に置き換わっていくところに、e4c-villageの時代を先取りする進化のメカニズムがある。このメカニズムを内在させていることが、e4c-villageの社会的存在意義と言える。


6.市場原理
高邁な理想を実現する力は、市場原理の導入なくしてはありえない。
e4c-villageがユーザーに最高のサービスを提供するためには、他の類似のサービスに比しても明確に認識できるだけの差別化された競争力が不可欠となる。
village内部においても技術、製品、サービスは市場原理によって淘汰される。e4c-villageのメンバーは、villageの中にあるという理由だけで、競争力の無くなった古い技術、製品、サービスを使う義務は無い。e4c-villageのメンバーは、最高の技術、製品、サービスを、積極的にvillageに導入移植することが期待される。これはvillageが目指す進化の形である。


7.事業分野の範囲
e4c-village のメンバーがビジネスモデルを提案することのできるすべての分野がe4c-villageの事業分野である。


8.地域展開の範囲
e4c-villageは、日本発の世界標準になるべき技術とビジネスモデルを創出していくプラットフォームである。
日本を皮切りに、並行的にアジア、アメリカ、ヨーロッパ、そして世界へと展開を図る。

以上