皆様、お元気にお過ごしのことと思います。
今年は、恒例の新春放談もなく、ご挨拶も遅れに遅れて大変申し訳ありません
でした。古いお付き合いの方からは、「元気なご挨拶を聞いて安心いたしまし
た。」とありがたいご返信をいただきました。この場を借りて改めてお詫び申し
上げます。今後は肝に銘じて、もう少し頻繁にコミュニケーションを取るよう
心掛けたいと思います。また、皆様には、このところインフルエンザが流行って
いるようですので、健康にもぜひ気を付けて、この三寒四温の季節を乗り切ってください。
さて、本題に移っていきますが、いよいよマイナス金利が発効して、世の中は
鵜の目鷹の目に成り行きを注視しています。円安にもならず、株高にも転ぜず、
世界経済は相変わらず厳しさを増しています。要は「お金を預けず、もっと市場に
出してくれ!」ということですから、アベノミクス第1弾の第1の矢「金融政策」
マネーサプライの増大と基本流れは同じです。全体的に見れば、企業の内部
留保も増え、お金はもうすでに市場に余っているのですから、その効果のほどは
疑問を持たれても仕方ありません。それより中国経済の減速や原油安、アメリカ
金利の上げ、が背景にはあるのですから、これらこそ放っておけば日本経済自体
に悪影響が出てくるのではないでしょうか。
こんな中でやはり年来気になっていた中国問題は、いや増しに気になってきてい
ます。尖閣(2012年)以来際立って中国の姿勢が分かりにくくなっているように
思えるのです。経済の問題だけでなく、国際政治や、挙句に中国の国内事情も
絡んできているのですから事態は複雑です。日本企業は、総じて中国と付き合う
間合いがよく分からなくなってきているように思えます。中国市場に魅力を感じて
出ていく企業、カントリーリスクを慮って慎重になっている企業、過小評価と
過大評価が入り混じっています。国際通貨としての中国元をどう見るのか、
AIIBに参加したイギリス、フランスはどういう思惑を持っているのか、西沙諸島、
南沙諸島の強引な動きは領土覇権としてどんな意味を持っているのか、等々、
中国を取り巻く多彩な疑問はどう見ればいいのでしょうか?数年来気になっていた、
このような中国問題を今回は集中して取り上げてみました。
中国問題は、実は昨年2015年の新春放談で前伊藤忠商事会長、前在中国大使の
丹羽さんも触れていらっしゃいますが、丹羽さんのお話しは「日本の将来を語る!」
ということでしたので、中国問題に限ったお話しではありませんでした。今回は
中国をよくご存じのお二人にたっぷりお話を伺うことにしました。ただ今回の
セミナーテーマにある「中国とうまく付き合う法」というとノーハウ話のように
聞こえますが、単なる方法論の話でなく、中国と中国人の本質に迫るお話を
お願いしています。
お一人は、元ジェトロ海外調査部部長の藪内正樹さんです。ジェトロ時代から
大変お世話になっていました。中国に限らず、海外の状況についていろいろ教えて
いただき、協議会でも、藪内さんを含めジェトロの方々から、新興国、アメリカ、
ヨーロッパについて何回かお話しいただきました。今回は、藪内さんご自身が
中国に赴任していらしたご経験をお持ちですので、昨年改めて中国事情について
内々ご意見を伺い、協議会でもお話をお願いすることになった訳です。面白い
お話をいろいろ伺いました。ビジネスの話だけでなく、政治、経済、社会、文化
などの多彩多様な視点から中国を語っていただきます。面子を失わされた中国は
どういう反応をするか、天津の爆発火災事故の背景は何か、中国経済は厳しい
状況にあるが何故それでも付き合った方がいいのか、中国のサインの出し方など、
具体的な内容を例にして、お話しいただけると思います。
もうお一人は、現在荒井商事顧問で、元ダイキンの結城隆さんです。現在も中国
には毎月出張し、中国レポートもお書きになっています。ダイキンという企業は
現地で現地企業連携のビジネスモデルを持ち、成功している企業として知られて
いますが、結城さんご自身も深くかかわってきたと聞いています。実は結城さん
は薮内さんにご紹介していただいたのですが、私のソニー時代の友人がダイキン
に転職していて、その友人からも結城さんと一緒に海外のお仕事をしたことを聞
きました。世の中狭いものです!結城さんの中国レポートは45ページにも及ぶ
大部なもので、マクロ経済から、軍事・外交、日本企業の状況まで多岐に亘ってい
ます。今回は特にビジネスに焦点を当てて、お話を伺いますが、中国を語るに
文化や社会は避けて通れません。「昔と人はほとんど変わっていませんよ。」と
おっしゃいます。2000年代前半には私も中国に頻繁に行っていましたから中国の
人とも親しく付き合っていました。不思議なもので、個人としての友人は親しみ
やすく、人間的にも素晴らしい人がどこでもいるのですが、一旦組織や国に属す
る行動になると人が変わってしまうことがあります。国の外から見ると公人の姿
は極めて政治的になります。結城さんがおっしゃることはよくわかります。普段
付き合っている中国の人は変わらないのでしょうね。でも中国はやはり変わって
きています。付き合うのは人ですが、さて中国とはどう付き合ったらいいのしょうか?
今回は中国通のお二人に何でも聞いてみたいと思います。世界は中国だけでは
ありませんが、中国を抜きで済まされるわけではありません。つまり組み込まれて
いるのです。今の日本も国内問題で済まされることは多くはありません。何らか
の影響を他国に、そして世界に与えます。グローバリゼーションは、実は無理して
でも行うバイアス行動ではなくて、端から組み込まれている問題の一部なのです。
中国を知ったら、実行に移してみましょう!遠くから見ているだけでは何も解決
しません。動いてみればわかります。恐れていないで踏み出してみることです。
でも闇雲なら止めた方がいいでしょう。挑戦は、面白さが合言葉だと思います。
今年も面白く行きましょう!
今回も是非奮ってご参加下さい。語り合いましょう。それでは会場で!!
株式会社イーフォーシーリンク 横野 滋